【活動報告】自由研究プログラム2025 in南房総市 〜研究内容編〜

目次

A班 ドクダミの分布と形態

A班では植物に興味を持った学生が集まっていたので、今回はドクダミの色や形、においが生えている場所によってどう変わるか、について研究しました。

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会議中。

研究の目的

ドクダミは、ドクダミ科に属する植物であり、独特の強い匂いを持つ。家の軒下や学校の庭園など、いろいろな場所に生えているのを見たことがあるが、生えている場所によって葉の色や形、においに違いがあるのか気になった。これを調べることで、植物の分布と形態の関係について明らかにすることができると考えた。

方法

  • ドクダミを環境が異なる3地点(日かげの木の下、日向の道路わき、日向の家の裏)から10本ほど採集した。
  • 3カ所のドクダミの茎(くき)の長さ、赤い葉と緑の葉の枚数、葉のにおいの強さを調べた。
  • 葉のにおいは、実際に嗅いだときに感じたにおいの強さを、5段階に分けて調べた(5が一番強いにおい)。

結果と考察

  • 日向の方が茎の長さが長かった。
    →日向家の裏では日陰よりも茎が短かったため、太陽が当たっているからではなく、土の栄養や水の量に関係があると考えた。
  • 日向のほうが赤い葉の割合が高かった。
    →太陽の光が葉の色を変色させている可能性がある。葉っぱも日焼けするかもしれない。
  • 葉のにおいの強さは、3地点のどこも同じくらいだった。
    →葉の色や太陽の当たり方は、葉のにおいに関係ない。

質疑応答

Q.茎が長いのはどうして日の光が当たっているからではないと考察できるのか?
A.もしそうなら、日向家の裏でも茎が長くなるはずだが結果からそうなっていないので、関係ないのではないかと考えた。

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日向は道路脇と家の裏の2条件だが、日向道路脇のみ茎が長い。

Q.茎の長さとにおいに関係はあったか?また、その根拠は?
A.あった。長ければにおいが拡散して少なくなり、また短いとにおいの成分が1箇所に集中するのでにおいがきつくなるのではないかと考える。

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上の結果と合わせると、茎が長いとにおいが弱く、短いとにおいが強くなっていることがわかる。

B班 ダンゴムシの迷路実験

B班では、群れ行動について興味をもち、今回の開催場所でよく採れたダンゴムシを用いて研究を行いました。

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結果を記録中。

研究の目的

生物は群れによって役割分担や協力行動などによって、個体でいる時よりも行動のパフォーマンスが高いと言われている。しかしその一方で、数が増えることで争いが増えたり、病気が蔓延したりと悪影響も考えられる。そこで、群れることによりどんな効果が発生するのかについて興味を持って調べた。

方法

  • 性別の違いによる影響を防ぐため、オスのダンゴムシを使った。
  • 1個体のとき・集団のときで迷路をゴールするまでの時間を測定した。
  • 早い個体と遅い個体が混ざった集団で、何匹ゴールしたか、最初にゴールした個体の早さがどうなるかを測定した。

結果と考察

  • 1匹で迷路に入れたとき、ゴールするのが早い個体と遅い個体がいた。
  • 群れになると、単独の時に比べてゴールするのが遅くなった。
    →群れると安心して、動かなくなってしまったのかもしれない。
  • 早い個体と遅い個体が混ざった集団では、ゴールできた個体が減った。
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青はゴールが遅く、オレンジは早い個体。
  • 混ざった集団では、最初にゴールした個体のゴールが遅くなった。
    →性格が違う個体がいると、他の個体と動きを合わせようか迷ってしまい、判断が遅くなったのかもしれない。
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青はゴールが遅く、オレンジは早い個体。先程の図とは縦軸が異なる。

質疑応答

Q.ゴールには何か目的が必要だと考えるが、この実験でのダンゴムシにとってのゴールは何かあるのか?
A.ダンゴムシは濡れたところを好むので、濡らしたティッシュを置いていた。
Q.なぜ今回の実験ではオスのみを用いているのか?
A.メスを用いると、卵を持っていたりした場合、卵を守るためにその場にとどまってしまったりするなど、行動に影響が出る可能性があるため。

C班 オスとメスの違い、ハエトリグモの光選好性

C班では生物の雌雄の違いによる形態の差に興味を持ち、採取できた生き物や代表(奥山)の飼っているハエトリグモを用いてオスとメスの違いについて調べました。

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発表の仕方やスライドも班のメンバー全員で考えます。

研究の目的

生物は同じ種であっても大きさや形、色などが雌雄によって大きく異なることがある。この違いについて実際に採取できた個体から、主に形態について調べた。また、代表(奥山)の飼っているハエトリグモを用いて雌雄での行動の違いについて調べた。

方法

  • バッタとチョウについて、採取できた個体について図鑑などを用いてオスメスを判断した。
  • ハエトリグモを用いて光への選好性を調べた。
  • 50ml チューブの半分をアルミホイルで包み、ライトをつけた。
    暗いアルミホイル側に移動する時間を測定した。
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光選好性実験の装置

結果と考察

  • バッタはクビキリギス、ショウリョウバッタ、トノサマバッタ、ヒメギス、チョウはモンシロチョウ、モンキチョウ、ベニシジミが採取できた。
    →図鑑で調べたところ、これらの種は雌雄で形態の違いが少なく、判別が難しことがわかった。そこで、すでに性別がわかっている(見分けやすい)ハエトリグモを用いることにした。
  • オスの方が暗い環境への移動にかかる時間が少なかった
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暗いアルミホイル側へ移動するまでの時間
  • オスの方が光に敏感だった
    →オスが夜行性でメスが昼行性?
    →行動する時間帯が違うと交尾できない …
    →夕方の被る時間で交尾してるかも?
  • メスの方が昼に活動的で、メスの方が体が大きかった
    →メスの方が卵持ったりするから昼でも行動できる(強い!)
    →オスの方が動きが活発?
    →オスは自主的に、メスは待ち伏せて餌を取っているのかも

質疑応答

Q.夕方などのオスとメスの行動時間帯がかぶる時期に交尾を行なっているかもしれないという考察だったが、確かめるためにはどういう実験を行えばよいか?
A.虫籠にオスとメスを入れて外に置き、行動時間帯が被りそうな時に観察を行ったり、オレンジ色のライトを当てて両方動きそうな状況を作って観察を行えば良いと考える。
Q.なぜオスとメスの違いを調べるのに、光に注目したのか?
A.家の中にいるクモには明るいところにいるものと暗いところにいるものがおり、オスとメスが関係があるかもしれないと思い、着目した。

D班 海岸の生物などの分布

D班では海に採取に出た際、海には生き物の痕跡だけでなくいろいろな漂着物があるというところに目をつけ、海からの距離によって漂着物がどのように変化するのかについて調べました。

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協力してデータを集めます。

研究の目的

海辺には波によっていろいろなものが運ばれてきており、外国語のラベルが貼ってある漂着物もたくさん流れ着いていて驚いた。そこで、海からの距離で流れ着くものがどれだけ変わるか調べようと思い、調べた。

方法

  • およそ180センチメートルの正方形で砂浜を区切り、そのなかの生物、漂着物などをすべて数えた。
  • 海から近い場所と遠い場所の2か所で、7つの場所で計測をおこなった。

結果と考察

  • 死んだ植物が大半だった(流木など)。
    海から遠い場所に比べて人工物が多かった
    →海水の中では植物は生きられないので、海の近くに植物は生えていなかった
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海から近い場所の漂着物
  • 生きた植物も多かった。貝殻はほとんどなかった。石も見つかった
    →貝殻は海から遠ざかる過程で削れたり割れたりしたので、海から遠いところではあまり貝殻は見つからなかった
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海から遠い場所の漂着物
  • 色々な生き物の死骸も流れ着いていた。
    →ハリセンボンは、急な温度変化に耐えられなかった??
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動物の死骸

質疑応答

Q.死骸について共通していることはあったか?
A.腐ってほとんど体がなくなっていたり、目の部分が落ちてしまったりしていた。
Q.考察で「海水の中では植物は生きられない」とあったが、なぜそう思うのか?
A.海水は塩分が多く含まれていて、多すぎる塩分は人間にとって毒なので、植物にも同じように毒になると考える。また、塩分が多いことからナトリウムが過剰にあることが原因だと考える。

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